承認ワークフロー(Approval Workflow)
承認ワークフローは、会社・部門・業務種別・条件(例:合計金額 > 100万円)に応じて柔軟に設定できる多段階承認システムです。購買フローの各ステップ(見積依頼・選定・発注・検収・支払)それぞれに独立した承認ルートを設定できます。承認が不要なケースはルートを設定しないことで完全にスキップ可能です。
| ロール | 役割 |
|---|---|
| 依頼者 | 各ステップを申請し、承認結果を受け取る |
承認者(KS01 / KS02 / KS03) | 各段階で承認または差戻し |
| 購買担当者 | 見積依頼の送付・選定を申請 |
| 参照者 | 承認はしないが、案件を閲覧し通知を受け取る |
会社管理者(K990 / K999) | マスタ設定で承認ルートを設定 |
フロー全体像
Section titled “フロー全体像”A. 承認ルートの設定(会社管理者が最初に行う)
Section titled “A. 承認ルートの設定(会社管理者が最初に行う)”flowchart TD
ADMIN(["⚙ 会社管理者が\n承認ルート設定へアクセス"]) --> CREATE
subgraph CONFIG["承認ルート設定"]
CREATE["承認ルートを作成\n(名称・説明)"]
STAGE["承認ステージを追加\n第1段階・第2段階…"]
ROUTE["各ステージに条件ルールを追加\n(OR/AND 組み合わせ)"]
COND["起動条件を設定\n(金額・部門・購買種別など)"]
APPROVER["承認者を指定\n(部門・役職レベル・組織)"]
BIND["組織に紐付け\n(会社 × 部門 × 業務種別)"]
end
CREATE --> STAGE --> ROUTE --> COND --> APPROVER --> BIND
BIND --> DONE(["✅ ルート設定完了\n使用可能な状態"])
B. 承認の実行(申請のたびに実行)
Section titled “B. 承認の実行(申請のたびに実行)”flowchart TD
SUBMIT(["📋 申請\n(見積依頼 / 発注 / 検収\n/ 支払など)"]) --> CHECK
CHECK{"この案件に\n承認ルートが\n設定されているか?"}
CHECK -->|"なし"| SKIP(["⏭ 承認スキップ\n次のステップへ自動移行"])
CHECK -->|"あり"| STAGE1
subgraph FLOW["ステージ実行"]
STAGE1["📨 STEP 1\n承認者へ通知送信"]
DECISION1{"結果?"}
STAGE2["📨 STEP 2\n(設定されている場合)"]
DECISION2{"結果?"}
end
STAGE1 --> DECISION1
DECISION1 -->|"承認"| STAGE2
DECISION1 -->|"差戻し"| RETURN(["↩ 差戻し\n申請者に通知\n修正・再申請が必要"])
STAGE2 --> DECISION2
DECISION2 -->|"承認"| APPROVED(["✅ 承認完了\n次のステップへ移行"])
DECISION2 -->|"差戻し"| RETURN
SUBMIT -->|"承認前に取消したい"| PULLBACK(["🔙 引戻し\n承認待ちの申請を取消"])
6種類の承認タイプ
Section titled “6種類の承認タイプ”| # | 承認タイプ | 発生タイミング |
|---|---|---|
| 1 | 見積依頼承認 | 依頼者が見積依頼を申請したとき |
| 2 | 選定承認 | 購買担当者が採用サプライヤーを決めたとき(購買部門の承認者) |
| 3 | 発注承認 | 依頼者が発注を申請したとき |
| 4 | 検収承認 | 依頼者が検収結果を入力したとき |
| 5 | 支払承認 | 支払予定申請・契約支払申請を出したとき |
| 6 | 契約承認 | 契約の登録・変更を申請したとき(契約部門の承認者) |
実際の業務シーン(DXソリューションとしての活用例)
Section titled “実際の業務シーン(DXソリューションとしての活用例)”J2の承認ワークフローは、日本企業が従来のハンコ・回覧板承認をデジタル化するために設計されています。以下に代表的な活用シーンを示します。
ケース①:金額基準による段階承認(製造業・調達部門)
Section titled “ケース①:金額基準による段階承認(製造業・調達部門)”課題: 備品や部品の購入に際して、金額の大小に関わらず同じ承認フローを使っていたため、少額品でも役員まで稟議が回り時間がかかっていた。
J2の設定:
flowchart TD
REQ(["📋 購買依頼申請\nK001"]) --> AMOUNT{合計金額は?}
AMOUNT -->|"10万円未満"| R1["課長のみ承認\n(1段階)"]
AMOUNT -->|"10万〜100万円"| R2["課長 → 部長\n(2段階)"]
AMOUNT -->|"100万円以上"| R3["課長 → 部長 → 役員\n(3段階)"]
R1 --> ORDER(["✅ 発注承認完了"])
R2 --> ORDER
R3 --> ORDER
| 設定内容 | 値 |
|---|---|
| 判定項目 | 合計金額 |
| 条件1 | 10万円未満 → 承認者:課長のみ |
| 条件2 | 10万〜100万円 → 承認者:課長 → 部長 |
| 条件3 | 100万円以上 → 承認者:課長 → 部長 → 役員 |
効果: 10万円未満の日常調達が課長1名の承認で即日処理完了。役員の承認負荷が大幅に軽減。
ケース②:部門別・会社別の個別承認ルート(グループ企業)
Section titled “ケース②:部門別・会社別の個別承認ルート(グループ企業)”課題: 親会社・子会社10社が同一システムを利用。IT機器購入は情報システム部が必ず関与する必要があるが、備品購入は各部門で完結したい。
J2の設定:
| 組織 | 品目カテゴリ | 承認ルート |
|---|---|---|
| 全社 | 一般備品(10万円未満) | 部門長のみ |
| 全社 | IT機器・ソフトウェア | 部門長 → 情報システム部長 |
| 製造部門 | 設備・機械(100万円以上) | 製造部長 → 経営企画部 → CFO |
| 営業部門 | 外注サービス | 営業部長 → 法務部(契約確認) |
J2の承認ルート紐付け設定で、「会社 × 部門 × 購買種別」の組み合わせごとに異なる承認ルートを割り当てることで実現。
ケース③:コンプライアンス対応(法務・情報セキュリティ確認)
Section titled “ケース③:コンプライアンス対応(法務・情報セキュリティ確認)”課題: 外部委託(IT開発・派遣・業務委託)の発注時に、法務部の契約確認と情報セキュリティ担当のリスク評価が必須。しかしこれまで口頭確認のみで、証拠が残らなかった。
J2の設定:
flowchart LR
A["依頼者\n発注申請"] --> B
B["第1段階\n部門長が承認"] --> C
C["第2段階\n法務部が確認"] --> D
D["第3段階\n情報セキュリティ担当が確認"] --> E(["✅ 発注確定\n全承認履歴を保存"])
効果: 全承認ステップがシステムに記録され、監査証跡として永続保存。コンプライアンス報告・内部監査にいつでも対応可能。
ケース④:ハンコ文化からのDX移行(稟議書のデジタル化)
Section titled “ケース④:ハンコ文化からのDX移行(稟議書のデジタル化)”課題: 従来の稟議書は紙またはExcelで回覧。承認者が出張中・テレワーク時に処理が止まる。承認状況の可視化もできない。
| 従来(アナログ) | J2導入後 |
|---|---|
| 紙の稟議書を物理的に回覧 | システム上で申請・通知・承認が完結 |
| 承認者が不在で手続きが止まる | 出張先・在宅からもブラウザで承認できる |
| 承認状況が申請者に見えない | リアルタイムでステータス確認可能 |
| 差戻し理由が口頭や手書きメモ | 差戻しコメントがシステムに記録 |
| 承認履歴を後から確認困難 | 全承認履歴がDB上に永続保存 |
| 金額別・部門別ルールの管理が属人的 | Master Dataで一元管理・変更も即反映 |
承認ルートの構成概念
Section titled “承認ルートの構成概念”承認ルートは以下の階層で構成されます。
flowchart LR
SETTING["承認ルート\n(名称・説明を定義)"]
STAGE["承認ステージ\n第1段階 → 第2段階…"]
RULE["条件ルール\nOR/AND の組み合わせ"]
COND["起動条件\n金額・部門・購買種別など"]
APPROVER["承認者指定\n役職レベル・組織・担当者"]
ORG["組織への紐付け\n会社 × 部門 × 業務種別"]
DEFAULT["デフォルト承認者\nユーザー×業務種別ごとの初期値"]
REF["参照者\n承認せず閲覧・通知のみ"]
SETTING --> STAGE --> RULE
RULE --> COND
RULE --> APPROVER
RULE -->|"次ステージへ連鎖"| STAGE
ORG -->|"ルートを割り当て"| SETTING
DEFAULT -.->|"初期値として提案"| APPROVER
REF -.->|"通知先に追加"| STAGE
ビジネスルール
Section titled “ビジネスルール”- ルートは会社・部門・業務種別で紐付け: 承認ルート紐付け設定で、会社・部門・業務種別・購買種別の組み合わせごとにルートを割り当てます。同じ業務種別でも部門が異なれば別のルートを使用できます。
- 承認を完全スキップ可能: 該当案件に承認ルートが設定されていない場合、承認なしで自動的に次のステップへ進みます。
- 条件による分岐: 金額・部門・購買種別などの条件を定義してルートを分岐させます。複数条件はOR/ANDで組み合わせできます。
- 多段階ステージの連鎖: ステージ連鎖設定で次の承認段階へつなぎ、3段階・4段階の承認も実現できます。
- デフォルト承認者: ユーザー×業務種別ごとに「承認者の初期値」を登録しておくと、申請時に承認先として自動で入ります。担当者不在時に自動で代わりの人へ回す仕組みではありません。
- 参照者: 承認ルートに「参照者」を加えると、承認はしないが案件を閲覧し通知を受け取れます。
- 承認履歴は永久保存: 承認・差戻し・引戻しの全操作が記録され、削除されません(論理削除のみ)。
- 承認者が無効化された場合の印: 承認者のユーザーや組織が無効化されると、その承認段階に「無効化」の印が付き、承認先の見直しが必要になります。
承認中の案件に表示される状態
Section titled “承認中の案件に表示される状態”承認の状態は業務ごとのステータスとして表示されます(見積依頼なら「見積承認待ち」、発注なら「発注承認待ち」など)。共通する4つの状態は次のとおりです。
| 状態 | 意味 | 次に動く人 |
|---|---|---|
| 承認待ち | 申請済みで、その段階の承認者の判断待ち | 承認者 |
| 承認済み | すべての段階の承認が終わった。次のステップへ自動で進む | システム |
| 差戻し | 承認者が修正を求めて返した。修正して再申請する | 申請者 |
| 引戻し | 申請者が承認前に自分で取り消した | 申請者 |
業務ごとの正式なステータス一覧は 見積・発注ライフサイクル と 発注ステータスの流れ を参照してください。
エッジケース・注意事項
Section titled “エッジケース・注意事項”- 承認者が対応できないとき: 承認者が長期不在の場合は、会社管理者が承認ルートの承認者設定を見直します。申請中の案件への影響は事前に確認が必要です。
- 承認者が無効化された場合: 申請後に承認者のアカウントが無効化されると、その段階に無効化の印が付きます。承認先を見直すまで案件は進みません。
- 承認ルート未設定: 案件は承認なしで自動的に次のステップへ進みます。意図した設定か設定漏れかを会社管理者に確認します。
- 引戻し vs 差戻し: 引戻しは申請者が自主的に承認待ちの申請を取り消す操作。差戻しは承認者が修正を求めて返送する操作。挙動が異なるため混同に注意。
- 多段階の条件設定: 複雑なルート(例:第1段階 → 金額チェック → 100万超なら第2段階を追加)はステージ連鎖設定で構成します。設定変更時は申請中の案件に影響しないか事前確認が必要です。
- 主要画面の URL 一覧 — 各承認画面、承認ルート設定
- 承認ルート設定 — 設定手順